6月2日、東京コンベンションホールで行われた「HRサミット2015」にて東京大学大学総合教育研究センター准教授 中原淳先生が研修デザインについての講演を、ダイヤモンド社間杉俊彦が内定者フォローに関する講演を行いました。

 

特大講演会場で行われた東京大学大学総合教育研究センター准教授 中原淳先生の講演には140名以上が参加。講演テーマは「現場で実践される研修をデザインするための5つのポイント」。今回は、中原淳氏の著書「研修開発入門」をベースに「研修開発」について実践的に学ぶセミナー「研修開発ラボ」のファシリテータを務める関根さんからの実践的エピソードを交えての“掛け合いセミナー”です。

 

中原先生はまず「現場」で実践される研修をデザインするための大前提は、まず「聞く、聞く、聞く、帰る」という研修デザインをやめることだ、として「なにも配慮がない研修で、研修で学ばれた内容の何%が実践されないのか?」というテーマで、早速、参加者同士話し合う、お隣ディスカッションがスタート。正解は「約75%」が実践されずに終わる、とのことです。

 

では、どうしたら研修の内容が実践されるような研修ができるのでしょうか?

ポイントとなるのは下記の5点。

  • 研修企画段階
  • 研修開発とは現場でのフィールドワークをベースにした「課題解決」である

研修の目的は、経営に資すること。研修開発とは、現場、経営陣、参加者らに関する様々なデータを集め、そこから課題を設定し、その解決にあたることである、という認識を持つべき。

この点について、「研修開発ラボ」の関根さんから特に熱心な人事研修担当者ほど、本来の研修の目的を忘れて、「このワークショップ手法を試したい」「このアクティビティを取り入れたい」などと、研修が目的となってしまうケースが多いとの指摘があった。

 

  • 研修開発とは「上司を巻き込むこと」である

業績につながる研修の成功要因のうち、特に重要なのは「現場でマネジャーや同僚からのサポートが得られるかどうか」。「研修開発ラボ」でも、この点は現場での実践につなげる上で、不可欠なプロセスとして強調しており、参加者からは「研修開発ラボの受講後、研修企画段階で、上司、現場マネジャーへの巻き込みを意識して行うようになった」といった声があったという。

 

  • 研修実践

③研修冒頭で「参加者を知ること」

研修を成功させるコツは「受講者をよく知ること」。研修講師の経験も長い関根さんは「研修前に事前アンケートなどで、受講者の情報をよく知っておくことはもちろん、研修前、研修中(たとえば昼食や休憩中)にも受講者の理解度を確認し、研修の内容やアクティビティなどを微調整していくことで、受講者にフィットした研修になる」と話す。

 

  • 「対話と振り返り」から学びが生まれる

中原先生によると、「『対話と学習が高い学習効果を補償する』『一方的な授業よりも、インタラクティブな授業の方が学習効果が高い』ということに関しては、様々な研究知見が出ているため、明らか。『一方的な授業がいいのか、インタラクティブな授業がいいのか』ということについては、インタラクティブな授業の方が学習効果が高い、という結論が出ており、もはや悩む必要はない。考えるべきは、どれだけ質の高い『対話』と『振り返り』ができるかどうか、である」とのこと。

 

  • 研修エンディング

⑤研修終了時は「逆戻り予防とリマインド」

研修の最後は時間が無くなりがちだが、「誰もやらないアクションプラン」と「アンケート記入」だけで終わらないようにする。研修の最後は、逆戻りすることを前提とした活動を行い、研修後もリマインドメールを送るなどのフォローも重要。

「研修開発ラボ」では、研修後に「その後、どうなりましたか?」といったフォローメールや個別の勉強会を行うなど、研修で学んだ内容を思い出し、実践につながるような働きかけを行っているという。

 

最後は、今回の研修で学んだ内容を

リフレクションのプロセス

  • What?
  • So What?
  • Now What?

に沿って、参加者同士お隣ディスカッションで話しあいました。

 

大会場でのセミナーにも関わらず、中原先生の代名詞ともなっている「①聞いて②考えて③語って④気づく」ラーニングバー形式は健在。隣同士で話し合うセッションもあり、「自社の研修転移20問チェックシート」も配布され、短い時間ながら、参加者にとっては自社の研修について振り返って考える機会となっていたようです。

 

セミナー終了後は中原先生による「研修開発入門」の即売&サイン会。中原先生はサインをしながら、多くの参加者と話をされていました。

 

一方、中講演会場では、ダイヤモンド社人材開発編集部 副部長 間杉俊彦による講演、内定者フォローから始まる「成長サポート」全解説‐濃密な入社前コミュニケーションが内定辞退を防ぐ‐が行われました。

 

講演では、2016年卒の就職活動生へのアンケート調査結果(ダイヤモンド・ヒューマン・リソース調べ)を紹介。16採用では、学生側の楽観ムードと企業側の採用意欲の向上により、「ミスマッチ感」が増大すると指摘。「内定辞退の防止」のためには「ミスマッチ感の解消」が重要と話し、そのためには、「社風」「働き方」「試練とやりがい」の3ポイントを伝えることを意識した内定者フォローが効果的だと話します。

 

また、採用が難しくなってきている今、「内定辞退の防止」という目的から内定者フォローに注目が集まりがちであるが、「育成の第一歩」という側面も大きい。特に「内定期間から3年目までのコミュニケーションが若手を成長させる」ことから、内定者フォローを「早期戦力化の第一歩」とポジティブに捉えるべきだと指摘。

 

「早期戦力化」のためには、内定者教育を通して、入社への期待感の醸成、モチベーション維持により、「この会社でがんばってみよう」と前向きない意識にさせることが重要。ダイヤモンド社の内定者フォローツール「フレッシャーズ・コース」は、働くことにまつわる情報と必要なスキルを伝えるだけでなく、多くの著名人や先輩社会人などのインタビュー記事を通して、先達から知恵と勇気を得ることができるようになっています。

 

その後、「フレッシャーズ・コース」を使った内定者フォロー5つの活用事例を説明。「フレッシャーズ・コース」に付属している「コミュニケーション・ペーパー」による人事担当者と内定者とのやりとりが、内定者の入社への意識を高めた事例に触れ、「最終的には人と人との関わりが内定辞退防止だけでなく、早期戦力化にも重要。「フレッシャーズ・コース」には内定者とのコミュニケーションがWebでできる「Webフレッシャーズ・コース」もあり、自社のニーズに合ったツールを選択して効果的な内定者フォローを行ってほしい」と締めくくりました。